◎「たくわん、持って行ってよ」
先月、歌集「辰巳の空」が完成した友松稔さん。ご自宅にお邪魔すると、奥様の幸子さんが「たくわん持って行ってよ」。
このたくわんがあまりにもおいしいため、このところ「ご飯・たくわん・汁」の一汁一菜の食事が気に入っています。物があふれかえる時代、素朴な食卓への郷愁の念とでも言いますか。
とはいえ、「おかずは、たくわんだけ」じゃ寂しいので、汁は具だくさんにします。
肉や魚、数々の野菜、こんにゃく・豆腐・油揚げなど加工品も。その時の気分で、いろんな具材を混ぜます。
汁も味噌味、しょうゆ味、中華風。
さらには西洋風にトマトスープも。まあ、ミネストローネみたいなものね。
よくよく考えれば、こんな具だくさんの汁には「肉野菜炒め」「魚の煮物」など、様々な料理が入っていることになるから、実は素朴な膳ではなく、「おかずだくさん」の贅沢なメニューなのです。
◎世界に誇る僕たちの食文化
日本人は「一汁一菜」「一汁三菜」で健康な体を作り、平均寿命も健康寿命(自立して生活できる年齢)も世界屈指の存在になりました。
70年前の敗戦で、長い年月をかけて築いてきた和食文化から洋風の食スタイルに移行したら、生活習慣病の広がり。
そこで、「やっぱり和食の見直しだ」の機運。
ユネスコの無形文化遺産になった日本人の食スタイル・食文化、次代に確実に伝えていかねばならないと感じているのです。