2016年05月21日

世界屈指の食文化王国というプライド

 人間の食文化の原点は「穀物食」です。
言うまでもなく中央アジア・中東・ヨーロッパ中心の小麦の粉食と、中国・日本などアジアの米の粒食ですね。
 小麦の粉食文化圏では米の粒食は定着しませんでした。例外はトルコのピラフ、イタリアのリゾット、スペインのパエリアです。逆にアジアでは、米と同時に小麦粉もうどんやお焼きの形で自分たちの食文化にしました。
 とすれば米の粒食文化圏における「粉食王国」の主張は、柔軟な受け入れ姿勢と器用さからして、世界屈指の食文化王国たる資格あり、と言えませんかな。群馬が「全国屈指の粉食王国」を名乗るということは、世界屈指の食文化王国であることを意味します。
 西洋と違って、小麦粉にバターや佐藤、ミルクを混ぜることなく、素朴な食べ方をしてきたのが、アジア人。
 そういうふうに健康的な粉食と上質の県産野菜を食べてきた上州人は、健康寿命(自立して生活できる年齢)も、「世界屈指の日本」の中で第三位。誇るべき食文化大国なのです。
 先日、県外の温泉旅館経営者らに胸を張ってこの話を。「粉食と野菜、群馬の食は素晴らしいんですね」と話が弾みました。郷土にプライドを持ちつつ発信することの大切さを痛感する瞬間です。
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2016年05月16日

ちょっとだけ訳あり品

 GWに会津に行き、漆器店で「ちょっとだけ訳あり品」の特価コーナーで、漆器の花器を買いました。
 定価の半分。蓋つきの椀も5セットが半額。
 訳ありといっても、傷はいっさいなし。買う前によーく見ましたが、新品にしか見えません。
 店の人は「職人が、『最後のひと塗り』のところで、納得いかないから売らない」と言い出した品とか、展示会で2週間展示しておいた品、そんなものです。贈答品ならともかく、ご自宅使いにはお値打ち品かと」の言葉に、迷わず購入しました。
 まあ、花器はシックでいいんじゃないの? 和洋どちらの花を飾っても、違和感ないし。
 これが、松や桜とかが金箔つきで描かれてると、ちょっと洋花って似合わな気がするし。
 椀も、汁物以外に、用途は広そうです。会津漆器の花器.JPG

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2016年05月12日

「アカシア」と「のびる」

 この時期、観音山にある事務所の周りには、「アカシアの花」が咲き、「のびる」も食べごろになります。
 GW中から咲いていましたが、駐車場で車を降りると、甘い香りにつつまれるのは、それなりにぜいたく感いっぱい。

アカシア.JPG

 本日(5月12日)現在、アカシアはもう終了間際。
 駐車場の片隅の自生している「のびる」は、いい感じです。

 アカシアの白い花は、衣をつけて天ぷらにしました。独特の甘い香りがそのまま衣の中に封じ込められて、なんともいえない味わいです。
 のびるは、言うまでもなく「エシャレット」みたいなもんですかな。
 エシャレットがお店にいつもあるのと違って、この時期に自生しているのを食べるだけなので、季節感いっぱいです。

のびる.JPG

 みそをつけたり、卵焼きに入れたり。
 けっこう楽しめるのですよ。

 アカシアも、のびるも、この時期ならでは。また、1年先まで「サヨナラ」です。
 このせつなさがいいのかもしれないね。
posted by katsuhiko at 14:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2016年05月11日

100人以上はいる「僕の父親」のひとりが

 昨年末、念願の歌集『辰巳の空』を刊行した、元校長先生の友松稔さんが亡くなりました。
 友松さんは、最後の最後まで、人とはかくあるべしという視点を持った「律儀な教師」でありつづけました。
 4月下旬に病院にお見舞いに行き、「先生。快気祝いは、先生の家の近くの『竹やぶの中のそば屋』だね。そこで盛りそばをごちそうしてよ。それ以外の返礼品は受け取らないよ」と、しばし雑談し、握手してきたのが最後となりました。。

 友松さんとは数年前に、上毛新聞ひろば欄掲載300本をまとめた本を作ってからのおつきあい。
 自分史や句歌集の著者とは、「親子」のような関係になって、おつきあいが長続きします。
 命には限りがありますから、いつかは「お別れ」がくるのですが、「親の数が100人以上にもなる」僕にとって、やはり切ないものです。
 歌集を横に置きながら、今一度、友松さんとそばをすすりたかったのですが。

辰巳の空.jpg

 これが、歌集『辰巳の空』です。

タージマハル.jpg

 これは『辰巳の空』に収録した、友松さん幸子さんご夫妻のインド旅行の写真です。
 有名な世界遺産「タージマハル」ですね。
 歌集ではこの写真に、
  それ見れば死してもいいと思ひたるタージマハルは眼の前に立つ
    (平成25年6月27日  NHK那智勝浦短歌大会入選作)
 という短歌を添えています。それくらい、大きな感動を手にしたということですね。

「上毛新聞ひろば欄に、300回掲載の後も、すでに160回以上載っています。通算500回になったら、301回目から500回目までの掲載作品を本にしたい」
 友松さんは、そうも言っていました。
「あと3年かかるか、4年かかるか。それを生きる張り合いにしよう。次は米寿の記念出版だね」
 いつも以上ににこやかに、そんな意欲を示していた友松さん。
 
 ありきたりの言い方ですが、「天国から投稿を続けてください」と申し上げるしか……。

 これも、人生ですかね。
posted by katsuhiko at 14:05| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記

2016年05月10日

念願の「高遠そば」を

 5月4~6日、磐梯山周辺を駆け足で回ってきました。

 裏磐梯の湖で予定していたカヤック(あっちこっちの湖や海で、カヤックに興じるのが好きなのです)が強風のため中止になった以外は、予定通り。

 江戸時代に会津藩主の参勤交代の街道として栄えた、深い山の中の集落・大内宿は、今や、かやぶき屋根の建物が並ぶ一大観光地。
 ここは「高遠(たかとお)そば」が名物。会津藩主が、長野の高遠にいた時代に食べた「大根おろしそば」が忘れられず、会津でも大根おろしを乗せた冷かけそばを「高遠そば」と称したというお話。
 大内宿のおそば屋さん(宿場中、そば屋だらけ)では、長ネギ1本を箸の代わりにして食べる流儀が定着。観光客に大うけです。

高遠そば.JPG

 長ネギでそばをすくって食べ、その長ネギをちょっとかじります。これが「薬味」の刻みネギ代わり。
 そば自体がとてもできがよく、よくある「観光地のどうでもいいそば」とは違って、「大盛りにしなかった」のを、やや後悔。

 実は、この高遠そばについては、去年まで知りませんでした。
 明和短大の学生で会津出身の子がいて、「食文化」の授業の「思い出にのこる我が家の味」のミニレポートで、このそばのことにふれていました。そのレポートを読んで、すぐに調べて「へえー、こんなそばがあったのか」と不勉強を恥じた次第。
「長ネギ一本で、そばをどうやってすくうのかな」
 ネギはもちろんツルツルしています。でも、そばが太打ちのゴツゴツ系なので、けっこう簡単に食べられました。
 新緑から紅葉、そして冬は雪深くなる山村。江戸時代が去り、明治以降は、ある意味「取り残された」山村です。それが逆に、築何百年というかやぶき建物を残すことになったのは、皮肉なものです。
 そして、今やおおいなる観光資源で、大内宿に向かうメインルートも裏道も、どんでもなく渋滞するのだそうで。
 「大内宿渋滞対策協議会」なる組織があって、いろいろ対策を講じているのですから。

 帰りがけに、会津漆器の老舗で「ちょっとだけ訳あり商品」として定価の半額で並んでいた漆塗りの「花器」と「蓋つき椀」を購入。
 傷があるわけではなく、「他のイベントで展示した物」とか「職人による、最後のひと塗りの段階で納得いかない仕上がりになった」といった、僕たち素人には完成品にしか見えない品々です。
 これはいい買い物をしました。
posted by katsuhiko at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記