2016年07月12日

もう間に合わない

◎参院選が終わった
参院選は自民・公明の与党の勝利に終わりました。今は、東京都知事選の真最中で、そう遠くない段階で衆院選も行われる展開となるでしょう。そして、憲法改正をめざす「改憲勢力」が参院でも3分の2を超えたことで、安倍首相も「改憲論議を」と主張し始めました。でも、参院選で首相や与党は「改憲論議」なんて前面に押し立てていなかったはずなのに……。これを世の大メディアや「大人社会」は、「それが政治だ」と訳知り顔をしていますが、僕たち普通の人間には、分からないことだらけなのが政治の世界です。これでよいはずがありません。

◎参院選で主張していないことを、言い出すんじゃないよ
 参院選が「政権選択選挙」ではないとはいえ、日本の針路を左右する国会議員選びの場です。公約を明確に掲げ、それに対して有権者が「信任するかどうか」を判断して投票、それからの6年間の国政運営を託すわけです。
 ですから、与党が戦略上にせよ憲法改正を正面切って掲げなかったのですから、「改憲論議」着手は、国民や民主主義を軽視していると言われても仕方がありません。普通の国民たる僕らの正直な心境からすれば「改憲論議を進めるなら、その前に、そのことをテーマに国政選挙で信を問うこと。これからやってくれ」と言わざるをえないのです。
 それがなければ「国民への信義違反」です。「ダメなものは、ダメ」なのですよ。「戦争の危機の有無と、軍隊の必要性」「集団的自衛権ってどういうこと?」「積極的平和主義って、何をすることなの?」……。これらの内容を簡潔に語れる国民がどれだけいるでしょうか? そのような状態で「国会の3分の2以上の発議」で国民投票になったら、イギリスのEU離脱をめぐる国民投票のような混乱が起こるだけではないでしょうか。

◎ザル法の改正くらい、さっさとやりなさいよ
 前東京都知事の公金不正疑惑でも、大メディアや評論家たちは「政治資金規正法は『ザル法』だからなあ」と言いますが、このザル法を改善すべき運動を起こそうとは言いません。でも、これなど「国民的大運動」を喚起して、きちんとさせなければならない問題です。
兵庫県議会の「号泣元県議」の政治活動費不正をきっかけに、少なくとも都道府県や市町村議員の政治活動費には改善の兆しが見え始めました。ところが国会議員の場合は「政治と金疑惑が」尽きることなし。「不適切ではあっても、違法ではないから」だって。
僕たち普通の国民が、まわりの子どもたちに「違法でなければ、何をしてもいいんだよ。うまく立ち回りなさい」と説教しなくてはならない社会なんて、さびしいじゃないですか。道徳観もへったくれもなし。「政治は最高の道徳だ」と胸を張って言ったのは、ほかならぬ上州人宰相・福田赳夫さんだったのですがねえ。

◎人の心をゆさぶる語りができる人
 政治家は「人々の心をゆさぶる主張ができる人」でなければなりません。今日の政治家の、どの言葉に僕たちは「心がゆさぶられる」でしょうか。選挙演説でも、国会の論戦でも、大物政治家が相手を揶揄したり、つまらない野次を飛ばしたりする情けない光景がやみません。
国民の経済格差が広がり、貧困率がアップし、教育を受ける権利もおかされかねない層が激増。奨学金に頼って大学を終えた青年は、社会人スタート段階で数百万円の借金を背負う。そんな中で、「経済政策は着実に進んでいる」「さらなる成果を」と言われ、「だから消費税アップと財政再建は先送りね」と言われて、どれだけの人が「なるほど、いま一歩だ」と思えるでしょうか? 誰の心が躍るのでしょうか? 
消費税アップ先送りには与野党ともに異論なし。「自分たちの子や孫の名義でクレジットカードを勝手につくり、断りなしに使いまくる」そういう親が、僕たち日本人だということではないですか。政治家が、その先頭を切っていて、本当にいいんですかい?

◎最優先ですべきことは
衆議院のみなさんは、頭の中は「選挙モード」でしょうし、今年後半はそういう局面が展開されていくでしょう。しかし、本当に必要なのは、「与党が3分の2をとる」ことでも、「野党が巻き返す」ことでも、「憲法改正」でも、「日本経済の復活」でもなし。大メディアが報道のプロ然として「政治」を難しい言葉で論じる事でもなし。
政治家が「小中学生をはじめ、普通の人々」に分かる言葉や考えで、明日を語り、取り組むことが「当然」とされる環境を作り上げることなのですよ。「みなさまとともに」と言いながら、胸の内では反対の事を考えているから、みなさんの言葉に、僕たちは「心がゆさぶられない」のです。
もう、間に合いませんよ。真剣に変えないと。僕たちは自分の国をあきらめるわけにはいかないのですから。

posted by katsuhiko at 20:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記