◎8回の転職の末に、たどりついたのは
8回もの転職の末に「人間らしい生き方をしたい」と株式会社「草むしり」を運営する宮本成人さん。
今の仕事の前は、会社勤めや飲食店勤務でした。
「妻や子どもと一緒に夕食を食べる機会もない。これは、自分の思う家庭生活ではない」
そう思って、6年前に「草むしり」で企業しました。転職の途中で、大工さんの手伝いのアルバイトで、庭仕事をした際に手にした「満足感」「爽快感」が背中を押しました。
ここ何年かで、ようやく軌道に乗ってきました。
一緒に仕事をする仲間も増えましたし、滋賀や香川などから「この仕事を、地元で起業したい」と研修生がやってきたり。
「草むしりドットCOM」の看板が、着実に広がっています。
彼は、この「屋号」と、自分たちで日本草むしりマイスター協会を立ち上げ、「草むしりマイスター」の称号を強調します。
「自己のブランド化」というわけです。前向きな姿勢に拍手を送りたくなります。
◎世の中に「雑草なんてないんだ」
彼は住宅の庭などの「雑草をむしる」仕事なのに、こうも言います。「すべての植物は価値のある存在。でも『役に立たない』という烙印を押され『雑草』になります。雑草かどうかを決めるのは人の心」。草むしりの達人が「世の中に雑草などない」と。これって矛盾しています。でも、こういう矛盾って「人間らしくて」楽しいですね。
それに、彼のこの思いは、雑草をむしる仕事をしていることへの贖罪の念かもしれません。命のある草を人間の都合でむしる。「ごめんなさい」と心で詫びながら。
同時に彼は雑草を人間に見立てているのかも。自分の能力・特性・感性に気づき、活かそうと努力する。社会に自らの価値を示す。
「そうしないと雑草扱いされかねませんよ。それで、いいのですか?」
と言いたのではないでしょうか。
◎なんて豊かな仕事をしているんだろう
彼は真夏は汗びっしょり、冬は寒さに震えながら作業を続け、仲間と地べたに座り込み、大空を眺めながら弁当を食べ、お茶を飲み、昼寝します。
さすがに、ここ数日は大変でしょう。熱中症にならなければよいのですが。
そんな日々を送っているのです。
「なんて豊かな仕事をしているんだろう」
そう実感しながら。
2015年07月28日
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