2016年02月17日

清原問題ねえ……

◇連日の薬物疑惑報道
 清原容疑者の転落が、連日報道されていますなあ。僕は、彼のことが好きでも嫌いでもないから、あんまり関心がありません。
 でも、有名アスリートや芸能人の薬物疑惑は後を絶たないのは、なぜでしょうね。
 もちろん、世間には「誘惑の魔の手」がたくさんあることは、誰でも承知の事。
 僕自身も20代のころ、仕事帰りによく立ち寄った屋台の店主から「マリファナを吸わないか」と誘われたことがありました。ごく普通に、注文した焼き鳥を突き出しながら言うんですから、なかなか。
 取材先のある経営者から「女性を世話しよう(もちろん、売春の話です)」と持ちかけられたこともあります。真面目な社会人だと思っていたこの人からの言葉に驚きました。この人は、後に摘発されました。
「反社会行為の誘惑はどこにもあるのか」と痛感したものです。
 有名芸能人やスポーツ選手には想像できないレベルの誘惑があるのでしょうね。
 だからといって許される問題ではないのですが。
 何億円もの報酬を手にする人は、人としての価値観がマヒてしまうのでしょうか。

◇巨額報酬の源泉
 考えてみましょう。
 卓越した技術のアスリートと、それを見に来る観衆はどっちが偉いか。
 言うまでもなく観衆ですよね。
 大観衆がやってきてお金をつかうから、企業も潤い、アスリートに何億円も払える。そこを勘違いしてはいけませんって。
 早く走れるから、早く泳げるから。ボールを木の棒でぶったたいてはるか遠くまで飛ばせるから。それは「えらい」には違いないのですが、それが「巨額の報酬の根拠」じゃありません。あくまで、観衆がつかうお金が「源泉」なのです。
 最近のメディアもメディアですよ。
 アスリートがどんな素晴らしいプレーをするかではなく「何億円で契約したか」を優先的に報じる。プロ野球あたりがいい例ね。
 これで、今の子どもが「ゆがんだ夢の持ち方」をしないと誰が言えるか。

 大きなホームランを打つ「カッコイイ」プロ野球選手と、おいしい米や野菜をつくれるお百姓さんは、どっちが偉いか? 答えは分かりきっています。
「どちらも同じように偉い」
 食べ物がなければ、人の命はすぐに尽きてしまいます。ホームランを打つ姿を見る興奮や感動も、おおいなる栄養になります。
 でも究極の選択をするなら命の維持に欠かせない食料という「有形商品」をつくる仕事の価値は、「夢」「感動」など「無形商品」を生む仕事のそれをはるかに上回ります。
 だから相応の謙虚さを持たねばならないという話。

◇その道一筋への憧れ
「◎◎バカ」という言い方があります。バカはけなし言葉ではなく、「ひとつのことに情熱を注ぎ続ける人」へのほめ言葉。
 子どもも大人も、「◎◎バカ」という生き方に憧れます。「自分もそう生きたい」と子どもは素直に夢をいだくし、「人生そうはいかない」と分かっている大人にしても、その期待は捨てられません。
 僕もそうです。
 だから「◎◎一筋」を貫くアスリートの姿が貴重なのです。

「心技体」という言い方もあります。
 技や体は充実しても「人格」「世間常識」が磨かれるかといえば、必ずしもそうではないことなど誰でも分かっています。でも、アスリートの世界にその言葉を当てはめるのは、「技と体を鍛えれば心もついてくる」と考えた方が楽しいし。子どもにも教育しやすい。
 その意味で、有名アスリートの不祥事は罪が重いのですよ。
 大人の期待と子どもの夢の両方を裏切る行為ですから。
 社会の期待と責任感を負う代償として、巨額の収入を手にしている。この原理を認識し直す環境を整えない限り、病巣を根っこから取り除くことなどできはしません。
 ことは清原事件解明でおさまる問題ではないのです。
posted by katsuhiko at 17:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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