◎なんとも楽しい人と
いやはや、楽しい人と知り合いました。装飾園芸家の渡部祐子(わたなべ・ゆうこ)さんです。
僕の自宅をつくってくれた建築士の中島桂一さんが、彼女の家もつくりました。
郊外の公園に隣接していて、池や水鳥、並木、妙義・浅間がすべて「ぜいたくにすぎる借景」になった家です。
うらやましいなあ。
そこで、たかさき毎日2月号の1面「人」でこんなふうに紹介しました。
◎物言わぬ植物の声を聴く
自然が持つ豊かな生命力を、暮らしに生かしてゆくには
【以下本文】
群馬で暮らして、もう30年近くになる。昨年、高崎に自宅を建てた。大きな一枚ガラスの窓から見えるのは池をゆく水鳥、園内の桜並木、遠く妙義や浅間の名山。まるで大きな絵がかかっているよう。仕事柄、室内にさまざまな鉢植え植物。
「声を持たない植物をはじめ、自然が発する『声』を聴くことが、人が生きてゆく上でどれだけ大きな支えになることか。日々の仕事でそれを痛感します。ですから、ホテル・病院・飲食店・工場などの企業や住宅という空間の装飾園芸が注目されるのでしょう」
生活空間の緑化の大切さが叫ばれている。植物は物言わぬところで大きな力を発揮している気がするという。植物はもちろん、石と語る、土と語る、炎と語る……。人はさまざまな存在と語り合いながら生きている。
「この仕事に出合った時、体調も収入も、いわゆるどん底状態でした。でも仕事で植物とかかわったことが、結果として自分を再生させ、かけがえのない友人や素晴らしい建築家とのご縁も生んでくれました」
立体駐車場に植物を飾る。多くの人がそれに気がつかないまま通り過ぎて、記憶にも残らない。
「でも間違いなく穏やかな気持ちで安全運転しています。植物が発するメッセージを、無意識のうちに聴いているからなんです。人の本能に訴えかけると言いますか。ビルの屋上や非常階段での花壇づくりも広げていきたい。『よからぬこと』を考える人に、それを押しとどめようとする植物の声が聞こえるように」
ロビー、玄関、ベランダなど植物にとって厳しい生育環境での仕事が多い。その中で植物が持つ豊かな生命力をどう表現できるか。それがこの仕事の醍醐味でもある。
「ひとつひとつの植物に『多くの人に、あなたたちが力や喜びを届けているんだから』とか、『あなたたちに、あたしの生活がかかってるんだからしっかり働いてらっしゃい』なんて語りかけながら。ちょっと置屋の女将さんみたいですか?」
明確な信念の一方、本音ともギャグともつかぬ言い方。楽しい人だ。
とまあ、こんな具合。
「紙面に使う写真ですか? メークバッチリの写真を撮ってきました。『別人28号』の」
と高笑い。この「別人28号」のギャグが分かるかどうかで、年が分かってしまいます。
とはいえ、「別人」はご謙遜、写真もご本人も素敵ですよ(^^)/
2016年02月24日
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