新刊本『家庭料理が幸せを呼ぶ瞬間〜忘れられないわが家の味』を株式会社言視舎(東京都千代田区富士見)から発刊しました。
家庭料理の素晴らしさや大切さを、僕が授業をしている明和学園短大(前橋市)の学生が書いたミニレポートを題材に、強くアピールするための本です。
言視舎の杉山尚次社長とは、2010年の『群馬の逆襲』以来、共に肩を組んで群馬やその他の地域の「逆襲シリーズ」を刊行し続けてきた「同志」です。
◎人は料理を始めて「猿から人間になった」のだから
家庭料理がすたれていく一方だという話をよく聞きます。効率一辺倒の世の中ですから、家庭料理は「滅亡」していく運命にあるのでしょうか。
何十万年も前の大昔、人間は火と出会い、料理という作業を始めたことで「お猿さん」から「人間」になったのです。
料理の誕生は単純に食生活の進歩という意味ではありません。料理してみんなで食べることで、人間は理性、秩序、規範、集団性などといった「人間ならではの特性」を身につけていったのです。
食育という言葉を持ち出すまでもなく、「食」が人を「育てて」きたのです。
家庭で料理を放棄すれば、その逆の事態を招きます。「人間がお猿さんに戻ってしまう」危険があるということです。
◎「あなたのことが大好きなんだ」というメッセージシャワー
そこで僕は、食文化の授業をしている明和学園短大の学生たちに、「忘れられないわが家の味」についてミニレポートを書いてもらいました。家庭料理の実情を改めて見つめるために。
「家庭料理がすたれつつあるから、迫力あるレポートはこないかも」などと予想していた僕でしたが、結果は正反対でした。
どの学生からも「母が、父が、祖母が、祖父が、わが子・わが孫のために懸命に料理したこと」をつづった文章が出てきました。愛情に満ちた家庭料理のエピソードばかりでした。
いい年をしたおじさんの僕が口にすべきではないかもしれませんが、「読んでいて、涙が出てくる」内容ばかりでした。
「やるじゃないか! 家庭料理」
僕の心は躍りました。家庭料理を通じて、親から、祖父母から、こんなにも豊かな「あなたのことが大好きなんだよ」というメッセージシャワーを浴びて育ってきた。そんな環境がまだまだたくさんあったのですから。
◎これは、本にしなくてはならないぞ
そこで、学生たちのレポートの一部を、僕のコメントも添えて紹介することにしました。それがPART1の「忘れられないわが家の味」です。
読んでくださるみなさんにも、家庭料理の存在価値と感動をお届けできるレポートの数々だと確信しています。
PART2の「ヒトの歴史と家庭料理」では、昔も今も、未来も。家庭料理が人間生活の基本であり、だからこそ大切にしていかなければならないのではないですかという僕の信念を述べてみました。
◎僕が言いたいことは
てみました
本書で、僕が強く言いたいことはなんでしょうか。
「料理の力で、人間はお猿さんから人間になったのですから、お猿さんに戻らないために、それぞれの家庭で、ひとりひとりが料理・食文化を大切にしていきましょうよ。だって、今の無秩序な世の中って、そんな怖い兆しが見えている気がしませんか」
この1点なのです。「人間に明るい明日がくるかどうかは、家庭料理にかかっている」のだと。